任天堂の採用面接とエントリーシート攻略法

任天堂の中途採用面接を受けてみました

2018年の末頃、現職へのモチベーションがだだ下がりした時期がありまして、ふと転職してみようと思い立ちました。

手始めに、いわゆる転職エージェントサイトにいくつか登録してみたものの、面談の過程で転職エージェントというものをイマイチ信用できず。

結局、エージェントには頼らず、行きたい会社に直接応募しようということで、任天堂の中途採用のサイトから申し込みすることにしました。

任天堂に応募しようと思った理由

主な理由は3つありました。

  1. 社風
  2. 世界と戦える会社である
  3. 幼少期からゲーム好きな自分に馴染み深い

社風

中途採用に応募する前から、任天堂に関する本は何冊か読んだことがあって、任天堂の考え方には共感する部分がいくつもありました。

なかでも「枯れた技術の水平思考」は、非常に大きな応募動機になりました。

「枯れた技術の水平思考」とは、かつて任天堂の開発第一部部長だった横井軍平さんが提唱した考え方で、今でも任天堂の製品を見ると、その考え方が根付いていることがわかります。

要は、最先端の技術は追わず、安価な古い技術からアイデアで面白いものを生み出す、という思考なのですが、こういう考え方をする会社ってなかなか珍しいんですよね。

現職では大人の事情で、新技術を無理やり使って高価で役に立たない商品を作る必要があり、どうしてもモチベーションが持てず、、

技術のロードマップを無視して面白いものを作るという、「枯れた技術の水平思考」に魅力を感じたことが、志望動機としては大きいです。

世界と戦える会社である

任天堂は日本最強のコンテンツホルダーであり、IPホルダーだと思っています。

マリオはビデオゲームを代表するキャラクターですし、ポケモンのメディア収入は世界最強です。

The 25 Highest-Grossing Media Franchises of All Time - TitleMax.com - Infographic
Created by TitleMax.com

日本の企業で世界と戦いたい、という気持ちがあったので、世界と戦う協力な武器をすでに持っているというのは、自分にとって非常に魅力的でした。

幼少期からゲーム好きな自分に馴染み深い

ゲームが好き、という単純な理由です。

好きなことと仕事に向いているかどうかは別、などと言う人もいますが、少なくとも嫌いなことを仕事にするよりは良いと思い、素直な気持ちで応募しました。

応募方法

応募方法は至ってシンプルで、任天堂の採用ページから興味のある職種を選択して、必要事項を記入して申し込むだけです。

任天堂キャリア採用

https://www.nintendo.co.jp/jobs/career/index.html

サイトへ行くとわかりますが、常に様々な職種が募集されています。

勤務地はほとんど京都ですが、たまに東京もあります。

職種を選択するとスキルや経験の適正が表示されるので、これを見ながら自分に合った職種を選んでいくことになります。

自分はゲーム開発の経験は無かったので、マネジメント系の職種に応募することにしました。
応募時に第2希望の職種を選択可能なのですが、これは何かしら興味のある職種を選択しておくことを強くオススメします。

エントリーシート

応募する際には、今まで経験した職種、スキル、志望動機などをそれぞれ500文字程度で記載して登録する必要がありました。
いわゆるエントリーシートのようなものです。

どれも一般的な職務経歴書、履歴書に書く内容で、奇をてらったようなものはありませんでした。この辺は職種によっても微妙に異なるのかもしれません。

ちなみに、ソフトウェア開発系の職種を選択した場合は、エントリーシート登録後にコーディング系の課題提出も求められることもあるようです。
Paizaやatcoderなどで事前にトレーニングしておくと良いです。

エントリーシートに記載する内容についてですが、職種選択の段階で適正が明確に示されているので、そこにマッチするような強みや経験をできるだけリアルに伝わるよう書くことが大切だと思います。

エントリーシート提出から1週間後、無事書類選考通過の連絡を頂き、翌週に京都の本社まで面接に行くことになりました。

面接1回目

面接1回目、任天堂京都本社の開発棟の受付で履歴書と職務経歴書を渡した後、会議室に案内されて簡単なアンケートを記入しました。

任天堂のカンファレンスへの参加経験や、Paizaやatcoderのランクなど。
自分はほぼ書けることが無かったので、ほとんど空白のまま提出。。

その後、人事担当らしき方から往復の交通費を頂き、その後面接官の待つ会議室へ案内されて面接スタート。

面接官は、応募職種の人事1名+担当者3名、うち一名は管理職っぽい雰囲気。

面接は終始穏やかで、面接官の方々はできるだけこちらの人間性や強み、考え方を引き出そうとしてくれていることがひしひしと伝わってきました。

面接の進行

面接は約1時間程度で、下記のような構成で行われました

  1. 人事担当の方から、職務経歴書に沿って、質疑応答形式で自己紹介
  2. 担当者の方々から、自由形式で質問

自己紹介は、よくある「3分で自己紹介してください」といったプレゼン形式ではなく、職務経歴書に記載されている経歴の一つ一つについて、簡単な質問を受ける形式でした。

個人的に、時間を意識しながらスクリプト的に話すのは苦手だったので、これはとてもありがたかったです。これだけでも、応募者を試すタイプではなく、引き出すことに意識を向けている会社だということがわかります。

自己紹介においては、中学生時代のことから質問されたのが印象的でした。

当時の部活や進学の動機など、聞かれると思っていなかったので少し動揺しましたが、ありのままを話し、ひとまず自己紹介は終了。

おそらくは、学生時代からの考え方やその一貫性、それに伴う行動を通して、発言の信頼性や価値観を測っていたのではないかと思います。

自己紹介後は各担当者から、以下のような質問を受けました。

  • 転職を検討している理由は?
  • 今までの業務で最も苦労したことと、それをどう乗り越えた?
  • 業務において工夫していることは何?
  • 応募職種について、大切なことは何だと思う?
  • プロジェクト規模はどの程度か、その中でのあなたの役割は?
  • 最近スゴイと思ったサービスは何?
  • 勤務条件などなど
  • 最後に質問があればどうぞ

質問自体は至って普通ですが、ここでも考え方や行動に関してははかなり丁寧に深堀りされます。

推論チックな質問がされると勝手に想像していましたが、そんなことはなく、一貫して価値観と考え方を問割れている印象をうけました。

ゲームに関する質問なども特に無かったですね。
これは応募職種にもよると思いますが、他業種の人材を採用して刺激にする採用方針があるそうで、ゲーム開発の経験や普段ゲームをしているかどうかは全く関知しない様子でした。

特に圧迫などなく、終始穏やかに面接は終了。

1週間後に次回の面接案内があり、ひとまず1次面接は突破しました。

面接2回目

前回と同じく、受付後に交通費を受け取り、その後面接用の会議室へ。

ネットなどの情報から、2回目の面接は部長クラスが登場すると予想していましたが、登場したのは前回の面接にもいた管理職風の方と人事担当、初めてお会いするマネージャー風の方の3名でした。

最初に管理職風の方から話があり、第一希望の職種ではなく、第2希望の職種ではどうか?とのことでした。

そして、同席していたマネージャーの方は、第2希望の職場の方とのこと。

悪く言うと、第1希望の職種への適性が不十分だったということなのですが、そこで切り捨てないあたり、任天堂さんの優しさを感じますね。
やはり、良い部分を引き出そうとする姿勢を強く感じました。

面接は、前回同様に質疑応答形式の自己紹介から、自由形式の質疑応答の流れだったのでした。

第2希望の職場の方からの質問がメインで、第2希望の職種に対する考え方などを深掘りされたのですが、残念なことに、第2希望についてはあまり準備ができておらず、ほとんどその場の思いつきで回答する形になってしまいました。

挙げ句、第1希望の職種の方が良いようなことも未練がましく言ってしまい、手応えは無し。

2日後にお祈りメールを頂き、僕の転職活動はひとまず終了しました。

任天堂のエントリーシートと面接対策

任天堂はゲームの開発職だけでなく、マネジメントやプロモーションなど幅広い職を募集しているので、興味がある方はまず採用サイトを訪問することをオススメします。

ゲーム開発経験や何かしら特殊な技能、実績がないと書類通過すら困難と思っていましたが、そんなことはないです。

職種に対する適正をきちんと説明できれば書類は通りますし、面接でも特殊なことや試されるようなことはなく、強みを引き出そうと根気強くヒアリングしてくれます。

自分は最終的に不採用でしたが、これから任天堂に応募する方へは、下記のポイントを整理しておくと、エントリーシートや面接で強い武器になると思います。

  1. 価値観の軸を持つこと
    そしてその価値観は、エントリーシートの内容や面接の回答と整合性を取り軸をブラさないこと
  2. エントリーシートや職務経歴書には、職種の適正に対するアピールを強く意識して記載すること
  3. 幼少期から現在に至るまでの過程と行動を整理しておくこと
    そして、それらの行動を職種の適正にマッチさせること
    行動の理由は価値観に紐付けること
  4. 自身の業務規模と役割を簡潔に説明できること
  5. 業務上の困難に対して、何を考えてどのように行動し、どの様な結果になったかを説明できること
    そして、それらの行動と考え方を職種の適正にマッチさせること
    行動の理由は価値観に紐付けること
  6. 応募職種の業務において大切なことを、理由とセットで3つ言えるようにすること
    理由は価値観に紐付けること
  7. エントリー時に、第2希望の職種は必ず記載すること
  8. 第2希望の職種に対しても、大切なことを理由とセットで3つ言えるようにすること
    理由は価値観に紐付けること

ここまでを完璧にしておけば、エントリーシートや面接を通過できる可能性はグッと上がると思います。

面接の本番は緊張すると思いますが、丁寧に質問をしてくれるので、準備さえちゃんとしておけば頭が真っ白になるようなことは無いと思います。

頑張ってください!