はじめに
2009年に扁桃腺の摘出手術をして、およそ10年が経ちました。
自分の周りでも、現在進行系で扁桃腺炎に悩んでいる人、手術を検討している人が思いの外多く、実はメジャーな病気という印象を持ちました。
そういった方に向けて、自身が手術に踏み切った経緯、手術の様子、その後の経過をお伝えしたいと思います。
手術に踏み切ったきっかけ
大学に入学したころから、年に数回、39度を超える高熱と寒気、節々の痛み、激しい頭痛が3〜5日続く現象が起こるようになりました。
発症するときには決まって扁桃腺が腫れて、つばを飲むのも痛く、抗生物質も効かず、ロキソニンを飲みながら熱が収まるのを待つしか無い、という状況。
旅行に行く予定を立てるときも発症に怯える日々で、旅行中に発症することも多く本当にストレスでした。
インフルエンザの何倍も辛く、年々発症の頻度も上がっていく始末なので、このままでは社会人生活に支障が出ると判断し、2010年の2月に手術に踏み切りました。
病院選び
いざ手術するにあたって、最初に悩んだのが病院選びでした。
別の記事でも書いているのですが、自分の場合、病院選びでは症例数を重視しました。
理由は単純、
- 数をこなしているので手術に慣れているはず
- イレギュラーケースにも慣れているはず
- 母数が多いので口コミが信頼できる
- 大学病院はなんだか怖い
以上、です。
病院にコネなども無く、ネットの評判だけが頼りだった自分としては、母数が多い、という事実が何より信頼できるように感じたのです。
大学病院は、漫画やドラマの影響であまり良い印象がなかったので、よく考えず敬遠しました。
結果的に選んだのはNTT東日本関東病院という五反田にある病院です。
症例数も多く、大学病院でもない、NTTという特に医療とは関係のない後ろ盾もあるので、条件は文句無しでした。
ちなみに、当時決まっていた内定先がNTT系列だった、という後押しもありました。
手術の様子
手術〜退院までの流れは下記の通り。
- 入院して検診を受ける
- 手術
- 1週間ほど喉の激痛に苦しみながら入院
- 1ヶ月ほど喉の激痛に苦しみながら耐える
手術は全身麻酔だったので、ガスを吸引したら数秒で意識を失って気づいたら終わりです。
僕のときは、手術中にかける曲を自分で選べるシステムがありまして、ビートルズをかけてもらいました。(そのせいでビートルズが少し嫌いになりました。)
全身麻酔は初めてだったので、何秒耐えられるかチャレンジしたのを憶えています。
普通は3秒くらいで意識が飛ぶらしいので、30秒を目標に頑張りましたが、10秒たったあたりで「もしかしてこのまま耐えられてしまうんじゃないか!?」などと考えた一瞬の隙をつかれてダウンしてしまいました。
気がつくと手術終了。
目覚めてまもなく喉がゴポゴポして、それなりの量の血を吐き出しました。
そのままフワフワした気分で病室へ戻ります。
しばらくしてプリンと牛乳とパインジュースが出てきたので食べましたが、パインジュースの難易度異常に高すぎたのでギブアップしてしまいました。
あのパインジュースは痛いというレベルではなく、皮を剥いで焼石を押しつけられるような、そんな痛みでした。
その後も、何度かパインジュースとオレンジジュースで交互に攻められました。
自分の場合、某箇所にカテーテル不要だったのが不幸中の幸いでした。
これから手術される方はカテーテル有無を事前確認することを強く勧めます。
入院中の様子
自分はお金も無いので、当然集団部屋でした。
パラマウントベッド
初めての入院だったのですが、パラマウントベッドは最高でした。
あのスライドして高さを調整出来るテーブルも最高でした。
あれは人をダメにするベッドだと思います。
夜ふかし
集団部屋なので、夜更かしNG(看護婦さんが見回りに来てお叱りを食らう)と思いきや、静かにしてれば夜ふかししてても特に問題ありませんでした。
ただし、激痛により夜更かし云々をしたいと思わなくなるので、あまり関係ないです。
術後の痛み
術後1~4日目までは喉より、手術時に舌に何箇所かできた口内炎の方が痛かったです。ありえないくらい大きい口内炎が同時多発するので、絶望的な痛みです。
そして 唾液が滝のように出ます。気分はとてつもなく最悪です。
口内炎が落ち着いてくると、喉の焼けるような痛みにフォーカスが当たるようになります。いうて喉も口内炎なのですが、飲み込む動作に強く連動して痛むので、唾液過多と相まって最悪の気分を助長します。
病院食
喉の状態を気遣ってか、病院食は流動食がメインでした。
(その割に、パインジュースとオレンジジュースは毎食登場して、僕を苦しめました。)
重湯というものを初めて食べましたが、最低の食べ物でした。
ドンブリいっぱいのでんぷん糊を食べてるような感じです。
お茶漬けのもとをかけるなど工夫して、どうにか重湯生活をやりくりしました。
それ以来、友人のお見舞いにはふりかけを持っていくようにしています。
4日目の夜にシーフードヌードルBIGサイズにチャレンジ。
死ぬほどの激痛でしたが、とてつもなく美味しかったことを憶えています。
同室の患者
同室にがん患者の人がいたのですが、僕と同等かそれ異常に辛そうでした。
放射線治療(?)をしている様子で、治療のせいで10キロ痩せて55キロになったそうです。
「あらまぁこんなに痩せ細って、、」といった事を家族の方から言われてましたが、僕の方が身長高くて体重軽いという。。
というか、普段の10分の1くらいしかカロリー摂ってないのに全く体重変化しなかった僕のボディは何なのでしょうか。
手術費用
自分のケースでは保険適用だったので、手術と入院費すべて込み込みで、13万円程度だったと思います。
やはり国民健康保険は頼りになりますね。
こういうときに有り難みを感じます。
手術直後の効果
手術がら2ヶ月ほどは喉が激痛過ぎて、扁桃腺炎もなりを潜めていました。
手術前は1~2ヶ月に1回は40度近い高熱が出ていたのですが、それはめっきりなくなって、体がワンランク強くなったような印象がありました。
今までは、ちょっとした風邪でもそこから扁桃腺炎になって、そこから1週間寝込む、なんてこともザラだったのですが、それは全く無くなりました。
風邪を全く引かなくなるというわけでは無いのですが、明らかに熱はでなくなって、旅行などの予定も立てやすくなったのがとても嬉しかったです。
手術直後の後遺症
手術から2ヶ月ほどは、いくつかの後遺症が発生していました。
- 味覚障害
下の根っこが味を感じなくなり、味覚がおかしくなる - 声が出しづらい
喉がつっかえるような感じで、うまくしゃべれない - 入院生活による体力低下
少し歩いただけですぐに疲れる
味覚障害は、予め起こり得る後遺症として予想はしていたのですが、いざ自分に起こると不安しか無かったです。
原理はよくわかりませんが、カップヌードルシーフードがなんだか甘いのです(それでも重湯の100倍美味しかったですが)。
いつ治るともわからず、毎日不安を抱えながら過ごしていましたが、2ヶ月ほど立つと、徐々に元通りになっていき、半年後には気にならなくなりました。
声が出しづらい状態は2ヶ月ほど続いて、喋れないのを良いことにに友人にいじられたのを憶えています。
なにやら突っ張ったような感じと、単純に痛すぎてうまく喋れず、術後しばらくは無口な日々が続きましたが、これも傷の治癒とともに徐々に治っていきました。
最後のは後遺症とは少し違いますが、扁桃腺摘出が初めての入院だった自分としては衝撃的でした。
少し歩いただけで息が切れて立てなくなり、普段から運動することの大切さを実感しました。
手術から10年経って
10年経ちましたが、いまのところ扁桃腺炎が再発するようなことは起きていません。
よくわからない喉のしこりのような症状は時折起きますが、以前のような発熱はなく、比較的健康的に過ごせています。
人によっては、喉の奥に第2、第3の扁桃腺ができるとか、実は扁桃腺炎ではなくリンパ節炎だった、といった理由で術後再発したり、効果が無かったりすることも有るようなのですが、今のところ自分は手術の効果があったようで、非常に幸運だったと思っています。
扁桃腺摘出手術はするべきか?
自分のケースでは、発熱の確率は劇的に下がり、旅行の予定も立てやすくなり、仕事も問題無くできているので、手術してよかったと率直に思っています。
逆に、手術しなかったら今頃どうなっていたのかと思うと恐ろしいです。。
とはいえ、手放しでお勧めできるかというとそうではなく、手術をしても再発したり、摘出したのに症状が治らなかったりするリスクはあります。
ですが、あまりに頻繁に高熱が出る場合、腎臓に負担がかかって別の病気になるリスクがあようなので、悩んでいる方は、まずは医師に相談することを強くお勧めします。
一般的に、年に4回以上発症する場合は、手術を検討すべきとされているようです。
まとめ
結論としては、とてつもなく辛いですが、扁桃腺炎でお悩みの方はなる早で検討したほうが良いです。
以下、ポイントです。
- 扁桃腺摘出手術はめちゃくちゃ痛くて辛いです
- 痛みが引くまで2ヶ月位かかります
- 術後後遺症のリスクもそこそこあります
- 年4回以上発症する場合、まずは医師に相談しましょう
- 放置しておくと、別の病気になるリスクもあります
では!